2010-04-17
遠い音楽
狭間の空間には幾つもの夢と幾つもの世界が折り重なっている。
手に届かぬ遠くの世界も、手に掴めぬ人の夢も全てが幻影のようにそこにあるのだ。
そしてその空間を渡り、その夢や世界を辿って僕はあの島へと向かう。
右側にある夢の塊の向こう側でキラリと紅い光が瞬いた。
眩しくも優しいあの光は姉さんの魂の光。マナの力を得て力強く輝いているのだろう。
光は灯台のように僕を導いてくれた。そうして紅い光に向かって僕は飛ぶ。幾つもの
夢と世界の間を抜けて真っ直ぐに。
そうして紅い光の中へと飛び込むと、僕の視界は一瞬紅い光に奪われ・・・
気がつけば姉さんの夢の中にいた。
手に届かぬ遠くの世界も、手に掴めぬ人の夢も全てが幻影のようにそこにあるのだ。
そしてその空間を渡り、その夢や世界を辿って僕はあの島へと向かう。
右側にある夢の塊の向こう側でキラリと紅い光が瞬いた。
眩しくも優しいあの光は姉さんの魂の光。マナの力を得て力強く輝いているのだろう。
光は灯台のように僕を導いてくれた。そうして紅い光に向かって僕は飛ぶ。幾つもの
夢と世界の間を抜けて真っ直ぐに。
そうして紅い光の中へと飛び込むと、僕の視界は一瞬紅い光に奪われ・・・
気がつけば姉さんの夢の中にいた。
♪・・・・・・
いつか何処かで聞いた事のある懐かしい曲が微かに聞こえる。
異国の弦楽器が奏でる不思議に懐かしい旋律。
突然は調べは途切れ、後ろから姉さんが僕を抱きしめた。
「やっと来たわね。待っていたわ。
・・・ああいう別れ方をしたからアナタが大怪我をしているんじゃないかって、
ずっと心配していたの」
姉さんが愛用している白檀の香と義兄さんの吸う煙草の匂いが混じった少し
変わった香りが鼻をくすぐった。少し懐かしい匂い。
姉さんの匂いだ。
キズナの気配はまだしない。
姉さんの話によると白面はいまだに現れておらず、その気配さえないのだと言う。
あのマナの暴走で白面自身も傷ついて動けなくなっているのではないか。
姉さんはそう推測していた。
「あの強い力は容易く操れるモノではないわ。白面自身も扱いかねている可能性
もあると思うの」
姉さんの推測は少し当たっている。
あの時、暴走したキズナの中にあったのはキズナが持つ力とは違う異質な力だった。
キズナ自身止める事が出来ないから僕に逃げてくれと言ったのだから。
僕はあの島の崩壊の時に体験した事全てを姉さんに話した。僕の話を一通り聞いて
から姉さんは真面目な顔をし
「あのね、私も変な夢を見たの。
キズナと言う名の少女の夢よ」
自分が見た不思議な夢の話を聞かせてくれたのだ。
眠るキズナの体内に何かを異質な物を投与した男性の話・・・。
「じゃあ 僕の出会ったあの変なヤツは・・・その人がキズナに与えたモノ?」
「キズナはその人を父さんと呼んでいたわ」
紅い島で彼女は「私は誰からも愛されなかった」と。そういって泣いていた。
父親からも愛される事無く孤独のうちに過ごしていたのだろうか?
そんなキズナの事を思うと涙が止まらなかった。
泣く僕を姉さんはそっと抱きしめ背中を撫でてくれる。
♪甘やかな風の調べ 虹をくぐり 魚達は 空に遊ぶ
小さな声で姉さんが歌っている。
あの弦楽器が奏でていたあの調べの歌。僕の記憶に残っている懐かしい歌・・・。
でも 歌っていたのは母さんじゃない、歌っていたのは誰?
そう 歌っていたのは紅い島にいたキズナ。そして・・・
「どうして姉さんがその歌を知っているの?」
「何となくね。シタールの調べを聞いていたら勝手に歌が出てきたと言うか・・・
不思議ね。私も聞いた事のない歌なのに」
思いだした。
この歌は僕の大切な人が小さな僕の為に毎夜毎夜歌ってくれた子守唄。
キズナが僕の為だけに歌ってくれた歌。
僕が僕として生まれる前に聴いていた大切な思い出の歌。
♪誰もが愛を奏でる あたたかな光 降ってた
【ぱいろん】であった僕の為に、【ゆんまお】だったキズナが歌ってくれた歌。
古い古い今はもうない国の子守唄。
♪その眼差しは ほどけて満ちてく水に抱かれ・・・
何故姉さんがこの歌を知っているのかはわからない。
でも・・・この歌がキズナの心に届けばもしかしたら・・・姉さんに抱かれ
ながら僕はそんな事を思っていた。
いつか何処かで聞いた事のある懐かしい曲が微かに聞こえる。
異国の弦楽器が奏でる不思議に懐かしい旋律。
突然は調べは途切れ、後ろから姉さんが僕を抱きしめた。
「やっと来たわね。待っていたわ。
・・・ああいう別れ方をしたからアナタが大怪我をしているんじゃないかって、
ずっと心配していたの」
姉さんが愛用している白檀の香と義兄さんの吸う煙草の匂いが混じった少し
変わった香りが鼻をくすぐった。少し懐かしい匂い。
姉さんの匂いだ。
キズナの気配はまだしない。
姉さんの話によると白面はいまだに現れておらず、その気配さえないのだと言う。
あのマナの暴走で白面自身も傷ついて動けなくなっているのではないか。
姉さんはそう推測していた。
「あの強い力は容易く操れるモノではないわ。白面自身も扱いかねている可能性
もあると思うの」
姉さんの推測は少し当たっている。
あの時、暴走したキズナの中にあったのはキズナが持つ力とは違う異質な力だった。
キズナ自身止める事が出来ないから僕に逃げてくれと言ったのだから。
僕はあの島の崩壊の時に体験した事全てを姉さんに話した。僕の話を一通り聞いて
から姉さんは真面目な顔をし
「あのね、私も変な夢を見たの。
キズナと言う名の少女の夢よ」
自分が見た不思議な夢の話を聞かせてくれたのだ。
眠るキズナの体内に何かを異質な物を投与した男性の話・・・。
「じゃあ 僕の出会ったあの変なヤツは・・・その人がキズナに与えたモノ?」
「キズナはその人を父さんと呼んでいたわ」
紅い島で彼女は「私は誰からも愛されなかった」と。そういって泣いていた。
父親からも愛される事無く孤独のうちに過ごしていたのだろうか?
そんなキズナの事を思うと涙が止まらなかった。
泣く僕を姉さんはそっと抱きしめ背中を撫でてくれる。
♪甘やかな風の調べ 虹をくぐり 魚達は 空に遊ぶ
小さな声で姉さんが歌っている。
あの弦楽器が奏でていたあの調べの歌。僕の記憶に残っている懐かしい歌・・・。
でも 歌っていたのは母さんじゃない、歌っていたのは誰?
そう 歌っていたのは紅い島にいたキズナ。そして・・・
「どうして姉さんがその歌を知っているの?」
「何となくね。シタールの調べを聞いていたら勝手に歌が出てきたと言うか・・・
不思議ね。私も聞いた事のない歌なのに」
思いだした。
この歌は僕の大切な人が小さな僕の為に毎夜毎夜歌ってくれた子守唄。
キズナが僕の為だけに歌ってくれた歌。
僕が僕として生まれる前に聴いていた大切な思い出の歌。
♪誰もが愛を奏でる あたたかな光 降ってた
【ぱいろん】であった僕の為に、【ゆんまお】だったキズナが歌ってくれた歌。
古い古い今はもうない国の子守唄。
♪その眼差しは ほどけて満ちてく水に抱かれ・・・
何故姉さんがこの歌を知っているのかはわからない。
でも・・・この歌がキズナの心に届けばもしかしたら・・・姉さんに抱かれ
ながら僕はそんな事を思っていた。
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